F1 2023 第7戦モナコGP 決勝

レースレポート
Photo by Reuben Rohard on Unsplash

第6戦エミリアロマーニャGPが中止になったことで、ヨーロッパラウンド開幕戦となった第7戦モナコGPです。
通常、ヨーロッパラウンド開幕戦では、多くのチームが大型アップデートを投入することが多いですが、如何せんモナコという超特殊なサーキット。アップデートの効果を測るのが難しいので、どうするべきか各チーム悩ましいところです。
そんな中、メルセデスが遂に大型アップデートを投入してきました。2022年からの新レギュレーション下で、「ゼロポッド」と呼ばれる従来のサイドポッドが削ぎ落とされた、他チームとは一線を画すコンセプトを採用してきました。しかし、なかなかレッドブルやフェラーリに追いつくことができず、それどころか今シーズンは後退してしまったのではと思うほどの低迷ぶりで、その革新的なコンセプトに別れを告げることになりました。
新コンセプトは、レッドブルのコンセプトに寄せてきたような、サイドポッド下部が抉れたボディ形状ですが、完全コピーという訳でもありません。あくまで独自の理論なのか、それともコピーしきれていないだけなのか。いずれにしても、どれくらいのゲインがあるのか、楽しみですね。モナコではそのゲインがどれくらいのものか分かりにくいので、本当のことが分かるのは、次戦スペインGPかもしれませんがね。

予選結果(スターティンググリッド)

予選Q1では、レッドブルのペレスがまさかのクラッシュ!モナコを得意としているペレスですが、ターン1の出口でスライドをコントロールし切れず、ウォールに当たってしまいました。残念!最後尾からのスタートとなってしまいました。

サージェント、マグヌッセン、ヒュルケンベルグ、周冠宇、ペレスがQ1敗退。Q1とはいえ、角田裕毅が2番手タイム!

そしてQ2。角田裕毅が9番手タイムでQ3に進出!これはすごい!1回目のアタックでは、トンネル後ヌーベルシケインに向けてのブレーキングでロックアップしアタックを断念。しかし、2回目のアタックでは力強い走りを見せ、一時5番手となるタイムをマーク!

Q3では、激しい戦いが繰り広げられました。オコンがトップタイムをマークしたところから、激闘の様相を呈す。ルクレールがオコンを上回りトップタイム!続くサインツはその時点3番手に止まるも、アロンソがルクレールを上回りトップタイム!後ろから来るフェルスタッペンはセクター2でコンマ2秒の遅れ!これは、アロンソのポールなるか!?しかし、フェルスタッペンのセクター3驚異の走りで、0.08秒差でトップタイムを更新!モナコ初ポールポジションを獲得しました!
角田裕毅は粘りの走りで9番手でした。

決勝スタート!

上位勢に大きな混乱はなく、きれいなスタートでした。

しかし、その後のフェアモント・ヘアピンでは、後方集団が大渋滞!ヒュルケンベルグはサージェントにぶつけてしまい、5秒加算ペナルティーです。

最後尾スタートのペレスが2周目にピットに入り、ハードタイヤに交換です!これは、クリーンエアを得つつハードタイヤで最後まで走り切る戦略でしょう!ロングランのデータは無いはずなので、最後まで走り切れるかどうか、ギャンブル戦略ですね。

5周目、フェルスタッペン、アロンソ、オコン、サインツ、ハミルトン、ルクレール、ガスリー、ラッセル、角田、ノリスのトップ10です。アロンソ、サインツ、ルクレール、ガスリー、ラッセルはハードタイヤですね。上位勢でも戦略が分かれています。
角田裕毅も予選9番手の位置をキープできており、順調なスタートをきりました。

11周目、4番手のサインツがヌーベルシケインのブレーキングで、前を走るオコンに軽く追突し、フロントウィングを壊してしまいました!チームはピットにフロントウィングのスペアを準備するも、サインツはステイアウト!壊れたフロントウィングを抱えたまま走り続けます。

13周目、アロンソ、右フロントパンク!?と確認を入れる!しかし、チームは問題なしの認識。何かマシンに違和感を感じているのでしょうか?この時点、トップを走るフェルスタッペンとの差は5秒以上に広がっています。

後方から追い上げを図るペレスは、ストロールに引っ掛かり、なかなか前に出られないまま周回を重ねています。
17周目の終わり、メインストレート手前のターン18、19で、トレインの先頭にいたサージェントをストロールがオーバーテイク!その仕掛けの際に隙をついて、ペレスも同時に抜いて行きました。
その後は前に出ていたマグヌッセンに追いつくも、またトレイン状態でなかなか前に出られません!

29周目、トップを走るフェルスタッペンのタイヤにグレイニングが出ている様子がスロー再生されます。更に周回遅れに引っ掛かる!この辺でピットインか?

32周目、5番手のハミルトンがピットイン!ハードタイヤに交換し8番手でコースに戻ります。

33周目、3番手オコンがピットイン!ハードタイヤに交換し、7番手でコースに戻ります。作業に手間取り、少し時間がかかりましたが、ハミルトンの前は押さえました。トラックポジションが重要なモナコで、これは大きい。

34周目、3番手サインツがピットイン!ミディアムタイヤに交換し、7番手でコースに戻ります。ピットインの前と同じ並び、この時点6番手のオコンの後ろ、8番手ハミルトンの前です。

35周目、トンネルを抜けた先ヌーベルシケイン、前を走るマグヌッセンにペレスが追突気味にフロントウィングをぶつけてしまいました。なかなか前に出られず焦っているのでしょうか。

36周目、ペレスがピットイン!踏まれて壊れていたフロントウィングを交換し、コースに戻ります。この時点で19番手。せっかくの追い上げも水の泡・・・また一からやり直しですね。

45周目、ルクレールがピットイン!ハードからミディアムタイヤに交換し、ハミルトンの後ろ8番手でコースに戻ります。

48周目、3番手走行中のガスリーがピットイン!ルクレールの後ろ8番手でコースに戻ります。

51周目、ラッセルからチームに無線が入る!ターン3で雨がパラついているようです。

52周目、ノリスがピットイン!11番手でコースに戻ります。

55周目、雨が徐々に強くなりはじめ、各車続々とピットイン!角田もピットインし、インターに履き替えてコースに戻ります!これはいいタイミングだったんじゃないでしょうか!多くのマシンがインターに履き替えますが、アロンソはミディアムです!

既にインターに履き替えていたストロールとラッセルですが、コーナーを曲がりきれずランオフエリアへ!リバースギアからの切り返しでコースに戻ろうとしたラッセルに、後方から走ってきたペレスがぶつけてしまいました。コース復帰直後でノロノロ走り始めていたラッセルを、スピードに乗ったペレスが避けきれなかったようです。この雨の状況なので、ある程度仕方ない部分はありますが、傍から見るとペレスの焦りにも見えてしまう、そんなシーンでした。

後から振り返れば、優勝争いのターニングポイントはこの周でした。2番手を走っていたアロンソが選択したのはスリックタイヤ(ミディアム)、それに対しトップを走っていたフェルスタッペンは、一旦ステイアウトした後、どのタイヤで行くべきかチームに聞かれた瞬間、迷うことなく「インター」と答え、次の周でインターに交換しました。
この周、ターン5ミラボーあたりは、もうかなりのウェットコンディション。55周目をステイアウトしスリックタイヤのまま走るマシンがズルズルとタイヤを滑らせ、タイムロスしていきます。
アロンソは交換後のミディアムタイヤで雨の中をまともに走れず、大幅にタイムロス。次の周には再びピットに入り、インターに履き替えため、ここでもタイムロス。
タイヤ交換が1周遅かったフェルスタッペンも、雨の中のインラップでは大きくタイムロスしており、仮にアロンソがミディアムではなくインターを最初から選んでいたら、フェルスタッペンの前に出ていた可能性がありました。
タラレバですが、面白いトップ争いが見られた可能性もあるだけに、少し残念な展開でしたね。

雨による混乱の中、スリックではとても走れないコンディションの中、スライドするマシンが続出。そんな中、角田は9番手をキープ!これは素晴らしいですね。

58周目、ハードタイヤのまま走り続けていたマグヌッセンが、ピット入り口手前でミニクラッシュするも、何とかピットロードに戻り、タイヤとフロントウィングを交換です!これはレインタイヤを履いています。

59周目、ペレスがピットインし、レインタイヤに交換!

66周目、9番手を走る角田の後ろにノリスが迫る!DRS圏内!

68周目、遂にノリスが角田をオーバーテイク!!ノリス9番手、角田10番手に代わります。

69周目、今度はピアストリが角田に迫る!そしてオーバーテイク!ピアストリ10番手、角田11番手となります。

その後、角田はコーナーで止まり切れずにランオフエリアに退避!ブレーキの調子が悪いようで、ずるずると後ろに下がっていきます!ここまで我慢のいい走りをしていましたが、万事休す!
フリー走行からブレーキが温まりにくい症状が出ていたそうで、雨が降ったことで更にブレーキが冷えてしまい、そしてなかなか温めることができず、温まっていないブレーキでは強く踏むことができず、強く踏めないからブレーキが温まらないという悪循環でどんどんブレーキが効かなくなっていったそうです。
ブレーキングを得意とする角田選手にとっては、つらいマシン状態ですね。

フィニッシュ

優勝は、盤石のフェルスタッペン!雨の混乱の中、ここはチャンスとばかりにミディアムタイヤに履き替えるギャンブルに出たアロンソですが、ギャンブル失敗。しかし、それでも2位を確保です!さすがですね。そして3位はオコン!予選でゲットした好ポジションをキープした、素晴らしい走りでしたね。

モナコGP終了後のドライバーズランキングはこちら!
ペレスが下位に沈み、這い上がってこれずノーポイントに終わったため、チャンピオン争いはフェルスタッペンが独走態勢に入っています。その代わり2番手3番手争いは、激化の気配がしてきましたね。

コンストラクターズランキングはこちら!
こちらも2番手争いが激化です。アストンマーティンとメルセデスがつばぜり合い、それをフェラーリが追いかける形ですね。アップデートで向上の兆しを見せているメルセデスと、アロンソがグイグイ引っ張るアストンマーティンですが、中盤から後半戦にかけて、今年用の開発をどこまで続けるか、そこがキーになってきそうです。

次は、マシンの総合力が試されるカタルーニャサーキットで開催されるスペインGPです。
モナコではわかりにくかったアップデートの効果が、ここでどれくらい発揮されるかが見ものですね。

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